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真琴の遙離れ【Free!TM絆 感想】

 

Free!TM絆の既存ストーリー部分の感想になります。

やっぱり改めて見てみると気付くことがたくさんありますね。放送から4年経ってもまだ気付けることがあるのは本当に楽しい限りです。ありがとうFree!

 

岩鳶中心の構成になっているだけあって、やはりメインとなるのは遙と真琴の関係性です。しかも2期が主な内容になっているため、核となるのは真琴の遙離れ(とわたしは勝手に呼んでいます)です。

 

大会で真琴は自分の得意種目であるバックの他にフリーにも出場することを決め、遙に「俺と真剣に勝負をして欲しい」と頼みます。その真琴の態度を不思議に思いながらもその頼みを聞く遙。結果は遙の勝利。言葉をかけられずにいる遙に、真琴は晴れ晴れとした顔で「やっぱり水の中では最強だね、ハルちゃん」と笑顔を向けます。

そして次に行われた遙と凛の試合を見ながら、渚は真琴に「どうしてハルちゃんと勝負しようと思ったの?」と尋ねます。真琴はそれに対し「俺もハルと真剣に勝負がしてみたかったんだ」と答え、さらに「凛が羨ましかったのかな」と言葉を続けます。

その後、真琴は岩鳶SCの手伝いをしたことで指導者の道という夢を見つけ、夢が見つからずに苦しむ遙に進路を告げられぬまま、初喧嘩へと発展していきます。

 

個人的にここが真琴と遙の関係性を語るうえで一番のネックなのではないかなあと思っています。

真琴の遙離れとは端的に言えば、遙と同じ道を歩むのをやめるということです。

この場合の同じ道というのは競泳選手になること。凛が言うように、その気になればおそらく真琴も選手を目指すことは可能なのだと思います。ですが、真琴はその道を選びませんでした。それはなぜか?

真琴自身が言うように「競泳の世界に向いてない」、つまり勝ち負けを競う世界に向いていないというのも理由の一つでしょう。しかし、それ以上に大きいのは真剣勝負を挑んで遙に負けたことなのではないかとわたしは思っています。

 

そもそも真琴が水泳を始めたのは遙がいたからなのです。ハイスピでもその辺りの葛藤は描かれていましたが、やはり真琴の根底にあるのは「遙と泳ぎたい」という気持ちです。そこに1期で渚や怜、凛という仲間が加わり、「遙や仲間たちと泳ぎたい」という気持ちに変っていきます。

しかし、あくまで根底にあるのは遙の存在です。

遙はこれから競泳の世界に飛び込んでいく存在。その遙に必要なのは傍で一緒に泳ぐ友達ではなく、競い合い高め合うことのできるライバルなのだと、真琴は考えていたのではないでしょうか。

そんなライバル、遙にとっての凛のような存在に自分がなれるのかどうか。その確証を真琴はあの試合で得たかったのだと思います。

その勝負に真琴は負けました。自分は遙のライバルにはなれない。この先の遙の競泳における未来を共に歩むのは凛であるとあそこで確信したのではないでしょうか。

まあ正直そこまで考えていたのかは微妙なところなのですが、自分はライバルとして遙と泳ぐことはできない。遙と泳ぐことのできない以上、競泳選手になるのは自分の夢ではないのだと、この勝負を通して感じたのだと思います。

これが個人的に考える真琴の遙離れです。

 

今回の映画で追加された遙&真琴ヒストリーを見て、改めてこの真琴の遙離れは真琴にとってとても大きなことなのだと感じました。

幼少期に出会ってから遙と真琴は本当に2人の世界で生きてきたのだなあと。閉鎖的とはまた違うのですが、その気がなくても2人だけで生きてこれてしまった部分があるのだと思います。

その世界を良い意味でも悪い意味でも壊したのが水泳であり、凛なのです。

 

先に述べたような部分を踏まえると、遙にとっての凛はもちろんですが、真琴にとっての凛の存在は遙とはまた違った意味で大きく特別なものなのだろうと思います。

遙の後ろに隠れて泣いていた真琴が水泳と出会い、凛や仲間と過ごすことで遙に手を差し伸べられるほど大きく強くなり、最後には遙のことを思って喧嘩ができるほどになります。成長したなあ真琴、としみじみです。

個人的にはこの変化だったり決断だったりが遙の知らないところで行われている、遙に一切その葛藤を見せずにいることにもどかしい気持ちになったりもするのですが、そこはぐっと押し込めます(ここが真琴らしいところだとも思うので)。

 

前の記事でも述べた掌関係についてですが、遙から手を差し伸べることで始まり、水泳を始めてからは真琴から手を差し伸べています。それに対して初喧嘩の時には手首を掴み、掌には触れません。そして最後は握手をして物語を閉じます。

この”掌に触れる”というのが真琴と遙の関係性そのものなのではないかなあと思っています。端的に言うと遙と凛、また凛と宗介の拳こつんの対比なのではないかと。

ライバル関係を含む遙と凛、凛と宗介との対比、つまりライバルとしてではなく、個人的なイメージとしては常に後ろから背中を押すような関係が遙と真琴なのではないかなあと思っています。

 

誰が見てもオンリーワンの関係なのに、凛に対して「羨ましい」という感情を持ってしまうところが年相応でわがままでとてもいいなあと思います。真琴の一番好きな部分です。

 

何度でも言いますが、本当に幼少期の遙と真琴は可愛かったです。持ち帰りたい。

冒頭の遙&真琴ヒストリーを約束では凛と宗介がやるのかなあと期待しているところです。信じてるぞ監督。